企業によっては、就業規則によって副業が禁止されているケースがあります。
副業でチャットレディやメールレディの仕事をしたいのに、副業禁止の企業に勤務していることで諦めている方もいるでしょう。
従業員は就業規則を守る義務があり、違反した際は懲戒処分の対象になる可能性があります。
そこで本記事では、副業禁止の就業規則は違法ではないのか、また企業が副業を禁止する理由や対処法を紹介します。
世の中は副業解禁の流れに
かつては副業を禁止する企業が大半でしたが、令和になった今、世の中は副業解禁の流れになっています。
副業解禁の理由の1つは、政府が副業を明確に推奨しているためです。
厚生労働省では、平成30年1月に副業・兼業に関するガイドラインを作成しました。
令和4年7月に改訂されたガイドラインでは、副業・兼業を希望する労働者が適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことが記されています。
副業禁止の就業規則は違法?
結論からいうと、企業が就業規則に副業禁止を盛り込むのは違法ではありません。
日本国憲法第22条では、個人が自由に職業を選択できる権利を持つことが定められています。
そのため、本業とは別に副業を行ったとしても、法律に抵触することはありません。
しかし、企業と従業員との契約においては、就業規則で副業を禁止することが可能です。
労働基準法第2条第2項では、以下のように定められています。
「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない」
そのため、就業規則に「副業禁止」の規定がある場合、使用者および労働者はそのルールを守る義務があります。
違反した際は就業規則の規定に基づき、懲戒処分の対象になる可能性もあるため要注意です。
企業が就業規則に副業禁止を盛り込む3つの理由
副業禁止を採用する企業の主な理由は以下の3つです。
競合防止
1つ目の理由は、競合防止です。
従業員が競合他社や自社のビジネスと競合する副業を行うことを防ぐため、副業禁止を採用する場合があります。
特に、業界や市場が競争が激しい場合には、企業は競合他社への情報漏洩やビジネスの流出を防ぐために副業禁止を採用することがあります。
業務効率の確保
2つ目の理由は、業務効率の確保です。
従業員が副業に時間やエネルギーを割くことで、本業の業務効率が低下する可能性があるため、企業は副業禁止を通じて業務効率の確保を図ることがあります。
特に、従業員が副業で疲労やストレスを抱えることで本業の業務に支障をきたす場合には、副業禁止が採用されることがあります。
情報漏洩の防止
3つ目の理由は、情報漏洩の防止です。
従業員が副業で得た情報を本業に持ち込むことで、企業の機密情報が漏洩するリスクが生じるため、企業は副業禁止を採用することがあります。
特に、企業が特許や製品の開発に関する機密情報を持っている場合には、副業禁止が採用されることがあります。
企業が従業員の副業を禁止できる範囲
一口に副業といっても多岐に渡り、どこからどこまでが禁止なのか疑問に感じている方もいるでしょう。
副業をすべて禁止する企業もあれば、一部副業のみを禁止する企業もありケースバイケースです。
従業員が副業をすることで、次のような問題が起こる可能性があります。
- 従業員の長時間労働につながる
- 自社の競業避止義務に反する恐れがある
- 管理部門で労働時間を把握し切れなくなる
上記の問題を回避するために、それぞれに応じて副業禁止の就業規則を設ける企業もあります。
すべての副業を禁止するだけでなく、競業避止義務を守るために「競業他社出の副業は禁止」、従業員の労働時間を把握するために「副業先の労働時間を報告させる」などの就業規則を設けるケースもあるようです。
なお、オークションやフリマアプリ、アフィリエイトなどは、少額なら副業とはみなされない可能性が高いです。
副業禁止に対処する5つの方法
就業規則に副業禁止がある場合、原則として副業はおすすめできません。
もし企業側に発覚した際に、最悪の場合は懲戒免職処分となるリスクがあるためです。
これを前提として副業禁止に対処する方法を紹介します。
副業禁止の解除を求める
従業員が企業側に対して、副業禁止の解除を求めるケースもあります。
副業禁止の解除を求める場合、従業員は副業が本業に与える影響や、副業が企業の利益に反しないことを説明する必要があります。
上司や人事部と協力して、計画的に副業禁止の解除を交渉することが重要です。
副業所得が年間20万円を超えないようにする
非推奨ですが、会社にバレないように副業する方は少なくありません。
会社にバレないように副業する場合は、副業所得が年間20万円を超えないように働くことをおすすめします。
副業所得が年間20万円を超えると確定申告が必要なためです。
住民税の納付を「普通徴収」にする
副業所得が年間20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。
会社に副業がバレないようにするためには、住民税の納付を「普通徴収」にすることが重要です。
収入が増えるとその分だけ住民税も増え、勤務先の給与担当者に通知されます。
住民税が高くなれば、給与担当者は「他に収入減があるのではないか?」と勘付いてしまう=副業がバレるわけです。
スキルアップとキャリア開発に時間を使う
副業禁止があっても、自己成長やスキルアップは継続することは可能です。
業務外の時間を活用して自己啓発書籍の読書やオンラインコースの受講、業界のトレンドや技術の研究などを行うことで、キャリアの発展に向けて努力することができます。
副業禁止外の活動を探す
副業禁止に該当しない活動や趣味を見つけることで、自己成長やストレス解消を図ることが可能です。
例えば、趣味の時間を充実させたり、スポーツやボランティア活動に参加することで、リフレッシュし、生活全体の満足度を高めることができます。
副業禁止の就業規則は守ったほうが無難
日本国憲法では、個人が自由に職業を選択できる権利を持つことが定められています。
しかし、企業が就業規則に副業禁止を盛り込むのは違法ではありません。
副業禁止の企業いおいて、無断で副業をすると最悪の場合は懲戒免職処分となるため要注意です。
とはいえ、企業にバレないように副業することは可能で、実際にしている方も少なくありません。
(あくまでも非推奨ですが)副業禁止の企業で副業したい場合は、副業所得が年間20万円を超えたないように働くか、住民税の納付を「普通徴収」にしましょう。